（ツンダオワタ情報）

 

「全席優先席」なんてことしたら、その優先度が平準化してしまうのは目に見えていた話だと思うんだけど、この点は議論の段階で誰も指摘しなかったのだろうか。“優先席”とされれば、その席が他の席と違って特別であることのアピールになり、そのことでいわゆる弱者に席を譲る、或いはその席には通常座らないといった行動につながりやすい。

 

ところが全席優先などとなってしまったら、そこに特別な座席がひとつもないことになる。そこに座席があるのに弱者しか座れないなどという理不尽はない。だから、その席が空いていれば座るし、座ってしまった以上は目的地まで立ちたくない。かつ、席を譲るべき“弱者”とされる人がどのような人なのかが極めて曖昧で、生半可な“弱者”では席を譲りにくいという状況もある。

 

あからさまにお腹の大きな妊婦であるとか、松葉杖をついてるような負傷者だとか、そういう人が乗ってきたら、心ある人間なら例えそこが優先席でなくとも譲るだろう。最も見極めが難しいのが老人で、どのへんの年齢から“老人”という線引きをすべきかは人によって様々だと思う。また、それは年齢だけではなく、60そこそこでもヨロヨロと歩くような人もいるし、80になってもしゃんとしてるような人もいる。中には、席を譲られることを不快に感じる老人（？）もいるというのだから難儀する。

 

とにかく、全席優先席などというのは何の効果もないナンセンスなアイデアである、というオチでこの実証実験は終了として良いと思うのだけど、全席優先はそのままに最優先席をつくる！などと何かのコントのような漫画のような恥の上塗りのような（？）ことをしようというのはいかがなものかと思うんだなぁ。

 

個人的には、いっそ優先席なんてなくして良いと思うのだけど。