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2013-04-06 13:46:40 センバツの話 | |
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春のセンバツの一幕に物言いがついているようです。 済美・安楽の熱投が問いかけたもの。高校野球における「勝利」と「将来」。 エース投手が9回完投、ときには延長もあり、その際の投球数が100を超えることも稀ではないという日本の高校野球の現状について、このままでは将来有望な少年が肩を壊す恐れもあり、その球数を制限すべきだろうという指摘がなされているというお話。 確かにその通り。10代というのはまだ成長途上であり、そこで腕や肩などに集中的に負荷をかけるような運動を繰り返していると成人した大人よりもその部位を痛めやすく、将来的に障害が残るリスクは少なからずある。だから、そうならないように過度な負担を強いることのないような制限を設けるべきという話は全く理にかなっていると思う。 その理解がある一方で、健康を優先すると、野球というゲーム、スポーツの楽しみや面白さが失われていくのもまた現実だと思う。この楽しみや面白さというのは、プレイする本人たちにとって野球というものが楽しいもの足りえるか、それをプレイすることで何らかの達成感なり満足感などを得られるものとなりえるかということにつながってくる。それを観る方にしてみればエンタテインメイント性ということでもあり、世間におけるその競技自体の存在価値を決める要素でもある。 その両者を天秤にかけて、どちらをとるかという問題。 仮に球数制限しても、十分に充実したゲームはできるかもしれない。投球数を制限したらしたで、それに対応したゲームのつくり方ができてきて、まず控え投手を先発させて、エースを試合が熱くなる後半に回すなどという作戦もあるかもしれない。ただ、勝てる見込みの試合で控えが打ち込まれて負けてしまったり、投球数稼ぎのファウル逃げ作戦なんてことも出てきたりするかもしれない。チームの組み立て方も従来型では通用しなくなってきて、野手も投手兼任できるようにしたり(地方校チームではありがちだが)、そうでなければベンチ入りできる人数を控え投手分増やしたりというルール変更の必要も出てくるかもしれない。 例えば1試合あたりの投球数を50に制限したとする。そうすると、大抵のケースにおいて先発投手は9回まで投げきることは難しい。毎回3者凡退していけばわりと回数を増やしていけるかもしれないが、1回10球も投げれば大体5、6回までで投手交代となる。例えば6回裏に2死満塁で4番打者を迎えてエースとの熱い対決!というところで球数制限により控えと交代なんてケースもありえなくはない。コントなら会場が爆笑して舞台暗転で良いけど、その春、その夏しかない高校球児がそれで納得するかどうか。 とにかく、何か危険性がある、リスクがるということについて、そのリスクが顕在化しないように先手を打ってリスクそのものを潰すというのは合理的である一方、リスクをとって得られていた可能性や価値も同時に潰しているということになるということは理解しておいた方が良いとは思う。そして、当事者たちがその可能性の方に大きな価値を見ているのだとしたら、それは危ないからと闇雲にストップかける行為についても考慮が必要だろうと。 この議論における主役は、あくまで野球をプレイしている高校生の選手たちなのだけど、彼らがまだ幼く無鉄砲だから、より賢い大人たちが安全なルールをつくって守らせなければならないんだ、という論理は正しいのかどうか。 ちなみに、こういう議論の中で必ず引き合いに出てくるのは、学校や家庭における児童虐待であるとか、ブラック企業における過酷な労働であるとかいう話。これらは、まず虐待されている児童やブラック企業の社員が、虐待や過度な労働を望んでいないのにされている、させられているという点で高校野球の件とは全く違う話なので、そこを混同して話をするべきではない。もちろん、選手がそういうプレイを望んでいるかどうかは本人でないとわからないし、仮に望んでいないのに監督やチームから強要されているというのであれば話は別だが。以前、某学校における某バスケ部キャプテンが自殺したというニュースが問題になっていたけど、あの件と高校野球で9回完投するという件とはまた性格の違う話だろうと思う。 とにかく、主役が選手たちである以上、彼らに判断を委ねるのが筋じゃないかと。当然、過度なプレイをすることによるリスクについては、医療におけるインフォームドコンセントにならってしっかり説明して理解してもらった上で判断してもらうということは前提ではある。やり過ぎると肩を壊して将来が潰れるかもしれないという危険性については、それこそ脅しをかけるくらいの勢いでいって聞かせる。というか、そういうリスクの説明をわかりやすくすることに力を入れるべきで、何も頭から制限かけて道を閉ざさなくてもいいじゃないか、というのが私の意見。 健康第一なのは、もちろんその通りではあるんだけどね。
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この記事へのコメント | ||
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RORO (2013-04-08 17:09:20) | 甲子園ほど、「勝利」に、こだわる類のゲームは無いと思いますよ。 だから、多少を超えるような無理な、戦術を取らざるをえない。 現場の人間以外には、その思いは理解できないでしょうねぇ。 | |
月影 (2013-04-09 00:09:42) | 1度負けたらオシマイというトーナメントというシステムも無理を強いている一因かもしれないですね。運の要素も絡んでくるし。それもまた高校野球を面白くしているものだというのもジレンマで。 甲子園でない大会でいっぺん球数制限して反応をみるのもいいかもね。 |