Nadja の日記
2012-06-08 00:51:30  違法ダウンロードに関する考察

このほど、議員立法で違法ダウンロードに刑事罰が課せられる著作権法の修正案が出される(た?)とのこと。

違法ダウンロード刑事罰化に反対する4つの理由、MIAUが声明発表
(watch.impress.co.jp)

著作権者、或いはその所有者なり権利保有者が認めていないコンテンツのダウンロードが違法となるような著作権法の法改正が2010年1月に行われたのだけど、問題はどこまでが合法でどこからが違法か?という線引きが非常に曖昧になっている点にあると思うんですよ。

このいわゆる改正著作権法に関して、以下にざっくりまとめられています。

違法ダウンロード法(禁止法)まとめWiki
(atwiki.jp)

結局、実際にそれがOKかNGかを決めるのは”それを商品として売っている人”になるというあたりがキモでして、そのコンテンツの権利保有者が認めるなり黙認なりしていればOKだし、駄目だといえば駄目になるのですな。で、ユーザとしてはどう動くべきかといえば、疑わしきはダウンロードしないということになりましょう。

ただね、このダウンロードという行為は、実はWebを利用している以上は日常的に行われているわけですよ。ブラウザにURL打 ち込んでページを開けば、まずそのページ(HTMLファイル)がダウンロードされてきます。さらにそのページ内に画像や音声などのメディアファイルが関連 付けられていれば、それらも同時にダウンロードされてきます。最近のページならflashやmp4などの映像ファイルも当たり前に含まれていますよね。そ うしたものの中に違法なものが含まれていた場合、ユーザとしてはわりと避けようがない、いわゆるWebを利用する際に生じる不可抗力といえるものだと思うのです。

お そらく、改正の意図としては、そのリンク先が違法にアップロードされているコンテンツ、或いは限りなく違法に近いコンテンツであると知りながら、それをダ ウンロードする行為を取り締まる目的があるのでしょう。そして、それがどちらか判断ができないならダウンロードするな、といいたいのでしょう。

でも、現実問題として、いちいちそんなの気にしながらWeb使ってる人が世の中に一体どれだけいるのか。

わ かりますよ。ええ、いいたいことはわかります。あれですよね、周到な常習犯がいて、罰せられないのをいいことに完全に違法だと知りながらダウンロードしま くってる輩がいるから、そういうのを確実に取り締まるには、大きな網でひっかけるよりしょうがないというんでしょう?ガンを攻撃するには、他の正常な細胞 も傷めつけてしまうような抗がん剤を投与しないと正常化しないという論理ですよね。

あっちを立てればこっちが立たず。そんな葛藤があるって話なんでしょうけど、私はこの問題は抗がん剤療法でどうにかなる問題じゃないと思うんですよね。

刑罰化したら、そういうのを(ズル)賢くやってた常習犯たちはさらに上手い抜け道を探るんです。で、実際に網に引っかかってくるのは雑魚ばっかりになる。その雑魚の中に法律で取り締まるべき狙い通りの罪人もいるでしょけど、ほぼ同じかそれより大きな割合で本当に知らなかったというユーザもいるわけで、そういうのを捕まえたところで、この問題ってあんまり解決にならない気がするんですよ。

最近はYouTubeやニコ動なんかの動画共有サイトが台頭してきて、映像や音声がWeb上から気軽に閲覧できるようなインフラが一般家庭に普及しています。そこには商用の音楽や映像などの作品が無許可で投稿されることも多いわけだけど、ユーザとしては、それがあれば普通に見ますよ。そして最近ではもともと商用でないオリジナルの音楽や映像すらどこぞの会社が権利を買い取って商用にしてしまうケースも多くなってきている。そうなってくると、もうどれが合法でどれが違法なのかさっぱりわからない。

じゃあ見るなよ!といってしまったら、もう動画共有サイトなんて一切利用できなくなってしまいます。

映 像だけに限らず、画像、音声、文章といった全てのメディアにいえることですが、思うに、インターネットを発信源としないコンテンツ、つまり、もともとCD やDVDであったりTV放送であったり書籍であったりするようなものは概ねアウトで、最初からネットを発信源とするコンテンツは、同じ音楽や映像、文章な どの作品であっても、それをダウンロードするということに寛大な感じがする。まぁ、ネットで発信した以上は、ダウンロードしてもらわないと始まりませんしね。昔はネットでソフトや音楽を公開すると、そのreadmeにはおよそ「ダウンロードありがとうございます!」というようなことが書かれていたものです。

要するに、ネットで公開されることを前提としていないコンテンツの権利者が目くじらたててるのだと思うんですが、この際そうしたいわゆる公式サイドもネットで公開しちゃえばいいと思うんですよね。そ れを良いと思った人はお金払う人もいると思うし、そうでなくてもこれだけ広告ビジネスが発達してるんだから、バンバンにアフィリエイトで稼げばよろしい。 個人のアフィリエイトブログが年間1000万円とか稼ぐ時代なんだし、公式で公開して、その映像なり音楽なりの関連商品とか貼っとけば買う人も数多です よ。違法アップロードのコンテンツはおよそどこか劣化してるんだから、そこでハイクオリティな公式の意地を見せればいい。ユーザがどっちを選ぶかはいわずもがなでしょ。

多 分、どんなビジネスも旧来の方式にしがみついたままだと、ある程度上手く入ったとしても、どこかでピークを迎えた後はジリ貧です。時代にあわせた次の手を 次々に打って行かないと、特にネット界隈の環境変化は激動してますから、そこにしてやられるのは目に見えてるという話です。


コメントの書き込み
名前
内容

(左の文字列を入力)